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プロジェクトストーリー(VIT事業)

ビッグデータで叶える
未来のクルマ社会。

渋滞情報をクルマで集める。

カーナビゲーション(以下、カーナビ)を開発するVIT事業本部では、ITを安全でスムーズな運転・走行に活用する先進的な開発も行っている。その一例が、2007年発売のトヨタ「ノア」「ヴォクシー」から搭載された「プローブ交通情報」だ。

従来、カーナビに配信されていたVICSによる渋滞情報は、道路上に設置された車両感知器が収集した情報に基づくもの。これに対しプローブ交通情報は、道路を走行中の各車から収集した車速などのデータから、渋滞情報を導き出して配信するシステムだ。 日本全国、VICSではカバーできないエリアにまで、きめ細かい情報を提供することが可能となった、ビッグデータによる運転支援の走りともいえる技術である。

可能性を描いた「日本地図」。

開発がスタートしたのは2005年。
プロジェクトリーダーの石川の下、サービス企画・開発担当の吉川とシステムの全体像の検討・開発担当の財津の2名が、顧客である自動車メーカーのオフィスに結成された総勢5名の精鋭混成チームに参加した。

吉川は「大嫌いな渋滞を、少しでも解消したい」、財津は「ナビで渋滞情報を見て裏道を選んだのに、そちらも混んでいた経験から、自分自身このシステムが欲しい」と、この開発に単なる業務以上の熱意を持って臨んでいた。

ところが製品化以前の企画段階で、顧客からは反対意見が相次いだ。日本全国を走る顧客車両のデータを収集したところで、国内を走行する全車両から見れば一部にすぎず、分析して情報提供を行うには不充分ではないかというのだ。

チームのメンバーは、現状でもある程度充分なデータが得られることを示すため、収集可能なデータによる国内の道路カバー率を割り出すなど、さまざまな方向から説得を試みた。そして切り札となったのが、「日本地図」。データ収集可能な車両の位置情報を点で描写すると、全国津々浦々に行き渡り、ほぼ正確な日本地図となったのだ。一目瞭然の説得力に、ついに製品化の決断が下された。

構想を現実に変えた技術。

製品化に当たって問題だったのが、まず「渋滞」の定義だった。ドライバーが「混雑している」と感じる走行状況は、名古屋と東京、大阪など、エリアによって異なる。渋滞判定アルゴリズムに用いる基準値を決めるため、石川と財津、吉川らは、各地を走行してはデータを集め、渋滞の映像をいくつも見て、基準値を決定していった。

システムに関しては、「最小限の通信量と、高精度の判定」をいかに実現するかが課題だった。

クルマからサーバにデータを送信するには、携帯電話の通信網を利用することになるが、当時はパケット定額制など存在せず従量制の時代。もちろん通信料はユーザー(ドライバー)ではなく自動車メーカー側が負担することになるが、そのコストを抑えながらも、精度を落とさない十分なデータ量の確保が必要となる。相反する要件を満たすデータフォーマットの策定に、長瀬は奮闘した。ちなみに当時開発したデータフォーマットが現在も継承されている事実が、完成度の高さを物語っている。

もう1つ重要だったのが「いかに渋滞を判定し、高精度な渋滞情報をユーザーに届けるか」だ。それを解決したのが、財津の開発した、車速の変動を利用する方法。車速が落ちた、あるいは停止した状態のデータに対して、「信号待ちなのか、そうでないか」を、まず各車に搭載されたナビで、ある程度判定する。そのうえで情報をセンターに集め、渋滞の最終的な判定を行う。精度向上と共に、サーバの負荷低減と処理スピードアップに加え、通信量の削減にも貢献した。

新ビジネスモデル確立へ。

こうした開発と同時並行で、営業担当の水野はプローブ情報システムをAWの新規ビジネスに育て上げるための、ビジネスモデルの確立に奔走していた。
「カーナビというモノを売る従来のビジネスとはまったく違う、ゼロからの構築でした」。ユーザーには課金できないため、顧客に対してシステムを販売する形となるが、継続的に利益を生み出すビジネスにする必要がある。

ソフトウェアのバージョンアップ時の開発費など、さまざまな収入のパターンを考え、リスクとメリットのバランスを検証していった。彼が構築したビジネスモデルは、AWが将来的にこのビジネスを拡大していく際、ずっと踏襲されるものとなる。

プレッシャーも大きかったと振り返るが、「それでもAWでは、世界初の製品や他にできないサービスなど、開発陣がいいモノをつくってくれている。営業はラクなんです」と笑顔を見せる。

広大な中国全土をカバー。

2007年、プローブ交通情報は、ノア・ヴォクシーに搭載され発売。その翌年には、中国への展開が始まった。当時の中国にはVICSに該当するシステムはあったが、精度もカバー率も低かった。

そこでプローブ交通情報に期待が寄せられたのだ。中国向けサービスの開発に当たり、東京から呼び寄せられたのが曽。日本向けのシステムをベースとした開発を、北京で顧客現地スタッフと一緒に進めた。石川たちも現地へ行き、渋滞予測精度の検証などを行った。そして2009年3月、レクサスRXに採用された。「どんどん新しい道路ができる中国では、日本とは比べ物にならない道路の距離に苦労した」と彼らは言うが、その甲斐あって、都市部はもちろん自治区も含む、広大な中国の国土すべてをカバーするシステムが完成した。

クルマは何でも知っている。

プローブ交通情報は、その後、「どれくらい混雑していたか」に加え、「どんな走行状況だったか」という情報まで収集できるものに進化し、サービスを増強している。2014年には、先行車の急ブレーキ情報から、後方を走るクルマにスリップの警告をアナウンスするサービスの提供も開始。現在も増田や前川を新たに加え、提供できる情報のさらなる充実を目指して開発を続けている。

「ITによる運転支援は、将来的には個人適合(ドライバーの一人ひとりにカスタマイズされたサービス)まで可能となるでしょう。時間優先の人、走りやすさや燃費を重視する人など、好みに合わせ、行きたい場所に希望どおりの時間に到着できるよう移動を支援する。ビッグデータは、そんなことも可能にしてくれます」と石川。彼は「クルマは何でも知っている」と言う。クルマが収集した情報による運転支援は、日本と中国のみならず、世界中へと広がる可能性を秘めている。そして、その可能性を現実にする技術とチャレンジのDNAが、AWにはある。

PROFILE

  • 石川 裕記

  • 財津 智之

  • 増田 吉孝

  • 吉川 和孝

  • 長瀬 健児

  • 前川 晃祐

  • 曽 剣武

  • 水野 智仁

Facebookページ「AW Palette」ですが、
掲載を終了させていただきました。
閲覧いただきました皆様へは心よりお礼申し上げます。

弊社採用HPにて情報を発信してまいりますので、
何卒ご了承いただけますようよろしくお願いいたします。

アイシン・エィ・ダブリュ株式会社
人事部 リクルートグループ 新卒採用担当